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蒲田健の放送後記
【終了番組】ラジオ版 学問ノススメ
極めて個別具体的な描写を重ねていくと、結果として普遍が立ち現れる。村山由佳さんの最新刊“ラヴィアンローズ”。夫からモラルハラスメントを受け続けた女性が自らの可能性に気づき
一人の人間としての尊厳を獲得してゆく。
「衝撃の長編サスペンス」という文字が帯に書かれているように
中身はとても怖い。こんな現象や事件は身の周りには現実には起きていないよ
と多くの人は思うかもしれない。だがそれは本当だろうか?
程度の差こそあれ似た事象は起きているのに、見えていないだけ
もしくは見ようとしていないだけ、なのではないか?
確かに作品に描かれているのはかなり振り切った極端な行為、行動である。
常軌を逸していると捉えることも可能であろう。
しかし、では「常軌」とは何なのか。自らが由とするところは
他人にとっても必ず正しいことなのか。「この作品は私にとって、過去の自分との訣別の書です」
人物造形や様々なディテールは自らが経験したことが
元になっていると村山さんはいう。
セルフカウンセリングを施し、追体験をし、ものすごい体力を使って書きつけた。
だからこそ圧倒的なリアリティをもって読む者の心を大きく揺さぶる。
そしてそれは村山さんの個人的な経験にも関わらず
読む者が自らの来し方を振り返らざるをえない普遍性をも
同時に含んでいるのである。自分にはこれほどのことが、幸運にも
これまで起こらなかっただけなのかもしれない。「バラ色は 見る人 見る場所 見る角度
その時々で 千差万別」P.S.非常ににこやかに、柔らかくお話しくださる方でした。
様々な壮絶な経験をしてきてらしたのに、と思っておりましたが
いやむしろ、してきたからこそ辿り着いた優しさがそこにあるのでは
と思うに至りました。ほぼ同年代ということで個人的に
更にリスペクト度合い増、です。