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蒲田健の放送後記
【終了番組】ラジオ版 学問ノススメ
本当に怖い目にあうと、記憶はそれをなかったことにすることもある
柴崎友香さんの最新刊「かわうそ堀怪談見習い」怖いという人の知覚は、怖いものが見えてしまっている、というより
怖いものとして見てしまっている、という恣意的なことなのではないか。
だとすれば・・・これまでの作品でも、場所、不在、記憶、といったことがキーワードになっていた
柴崎さん。怪談というスタイルはこれまでにない新機軸であるが
描くことの奥にあるもの―記憶の不思議さを追求したい―ということでは
通底している。目指す頂は同じでも、そこまでのアプローチのルートは事実上無限にある。
そして色んなアプローチをすることによって、徐々にその姿はくっきりとしてくる。
作品として完成すると、不思議とそのルートをどう発見したのか忘れてしまうという
柴崎さん。逆にそれがあくなきクリエイティビティを喚起させているようである。「現実と 非現実との 間には
そんなに深い 溝はないかも」P.S. 柴崎さんの故郷大阪に実在する、いたち堀、うつぼ公園という地名。
作中に登場する、かわうそ堀、うなぎ公園という地名。これらの微妙なズレも
「怖さ」を触発する装置として良い味わいになっています。
散歩をよくするという柴崎さん。大阪を訪れた際
自分もその周辺を散歩してみたくなります。ちょっと怖いけど。