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ディレクターバブリアン作 短編小説 「 古くなったピアノ 」3

【終了番組】SCHOOL NINE MONDAY
ディレクターバブリアン作 短編小説 「   古くなったピアノ  」3
続き→→「そして君が、5歳になった時。幼稚園のお友達を連れてきたんだ。 そして、うれしそうに、私を紹介してくれてね。その時、お友達が私の白い鍵盤にクレヨンでいたずらしてね。 そしたら、君は泣きながらお友達を叱っていたよ。フフっ。『ダメよ。ピアノが痛がってるでしょ。』ってね。」 「私、そんな事を?」 「まだあるよ。君が3年生になったある夏の日。セミがたくさん鳴いていたあの日。 巣から落っこちてしまっていた野生のムクドリをパパが拾ってきて、 大事に看病したオッくんがいよいよ元気になって、自然に帰さなければいけない時が来たんだよね。 君はパパと一緒にお庭でオッくんを見送った。 そして部屋に入るとすぐに私の所に来て、大好きな曲を弾きながらしばらくずっとシクシク泣いていたね。」 「あ、覚えてる。あの時はとても淋しかったの。」 「知ってるよ。淋しそうな君を見て、私も同じ気持ちになったよ。」 「ファソラはずっと・・・そばにいてくれたのね。」 「これからも、ずっとそばにいたいんだ。君が大人になってしまうまで。」 「ファソラ、どこへも行かせないからね。」「エミちゃん、物には全てに命があるの。」 メロディ女王がお城から出て来て言った。 「だからエミちゃん、アナタの様にピアノを大切にしてくれる人がとてもありがたいの。 だってかわいそうでしょ。物にも命があると知らない人間達は、簡単に捨ててしまう。 新しいものを買えばいいといってね。物たちも人間が大好きで、一生懸命人間の役に立とうとしているの。 だから、ポイっと捨てられてしまう物達はとても傷ついてそれぞれの故郷に帰っていくの。かわいそうでしょ。 ピアノも同じ。今はエレクト―ンや、キーボードが出てきたから、古くなったな・・と思われたピアノ達は ぺしゃんこにされてしまったり、壊されてしまったりするの。まだまだステキな音色が奏でられるのに。」 「メロディ女王様、今日はありがとうご。私、ファソラと話せて嬉しかった。」 「エミちゃん、これをあげるわ。また遊びに来られるように。」 エミの手の平に、音符のついたネックレスがフワリを置かれた。 「女王様、ありがとうございます。・・・ファソラ、いつも私を見守ってくれてありがとう。 これからも一緒にいてね。」『一緒にいてね』・・・と言った自分の声で目が覚めた。 エミは自分のベッドの上にいた。窓からはまぶしい朝の光が差し込んでいる。 泣き疲れて寝てしまい、そのまま朝になっていた。 「夢だったんだ・・・。」 エミはハッとして、慌てて起き上がり、部屋を飛び出し、階段を駆け下り、リビングの扉をあけた。 そこには、こげ茶色のピアノがあった。 「エミ、ママが間違ってたわ。ごめんなさいね。エミがとっても大事にしてきたピアノなのに。」 「ママ・・・。」 「パパとも話してね、新しいピアノにするのはやめたの。このピアノはこれからもエミが大切に弾いてね。」 「ママ・・・ありがとう。」 エミは、傷だらけのピアノのイスに座って、ピアノをそっとなでてから、鍵盤のふたをそっとあけた。 鍵盤の真ん中で、何かがキラっと光った。 それは、あの音符のついたネックレスだった。 エミはクスっと笑い、ネックレスを手にとった。夢じゃなかったんだ。 エミはピアノに頬をくっつけて言った。 「ファソラ、これからもよろしくね。」― END ―

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