Vol.165 土庄町・小豆島 島のかつての暮らしを聞いて書き記す。「いとなみvol.1」
島に暮らすひとたちのかつての暮らしの風景を、聞いて書き記す。そうして生まれた1冊の本が、小豆島にあります。
「いとなみ vol.1」

島に暮らし、島の人からきいた昔話をシェアして楽しむ「しょうどしま民族座談会」のみなさんが作られました。この冊子ができるまでを「しょうどしま民俗座談会」の神谷さんと田山さんにお聞きしました。

「しょうどしま民俗座談会」のスタートは2024年夏頃。
メンバー7人がそれぞれの仕事や生活の中で島の方から聞いた昔の産業や文化、思い出話を、「こんな面白い話を聞いたよ」と共有し合う場としてできあがりました。
神谷さんは来島するアーティストの作品制作をコーディネーターとして支援するお仕事をされていて、地域のことを島の方にヒアリングすることも多々。島のおじいちゃんに話を聞いた際には、現地を歩くうちに小学生の頃を思い出し、よく遊んだ山奥の洞窟のことやそこにある泉で目を洗うと見えるようになるという話がどんどん出てきて、強く興味を惹かれたそう。

田山さんは土庄町で「TUG BOOKS」という本屋を経営。併設しているカフェにお茶しに来てくれる年配の方が外の風景を眺めながらこの場所が干潟だったことや、店内にある島の昔の写真集を眺めつつ昔の話をしてくださることがよくあるのだとか。
そういった話を座談会メンバーだけで共有するのはもったいない、と作られたのが小冊子「いとなみ vol.1」。
A5サイズに近い変形サイズで、クリーム色の紙、モノクロ印刷。文章の合間に島の人が提供してくれた写真やメンバー手描きのイラストや地図が添えられて、読み応えたっぷりです。

(写真家 太田さんの撮影した写真も掲載)
本文は3つの章に分かれており、土庄町大鐸地区にあった炭鉱の話、土庄町灘山地区の石と石工さんの話、そして写真家の太田さんの話が集録されています。
田山さんが聞き書きを担当された写真家の太田さんは、小豆島で教師をしながら写真家として活動。豊島や大島にも継続して通い、50年以上にわたって瀬戸内の風景を撮り続けてきた人物です。冊子にも掲載されている沖ノ島で撮影した約50年前の写真では、渡し船で去る際に手を振る子供たちの笑顔から、当時の賑やかな島の雰囲気が伝わってきます。

(かつて島にあった炭鉱の写真も掲載されています)
神谷さんが担当した土庄町大鐸地区にあった炭鉱の話では、実家の玄関隣に炭鉱口があった(現在も残っている)という金子幸子さんの子どもの頃の思い出が印象的。コウモリが母屋に入ってくるのを防ぐのが大変だったことや、涼しい風が吹き抜ける炭鉱口の手前で「宿題をする」と言いつつ昼寝をしていた体験談が記録されています。

「いとなみ vol.1」は、島に住んでいても他の集落のことを知らない島の皆さんにとって新しい発見が多かったよう。年配の方は当時の風景を懐かしんだり、これをきっかけに新たな話を聞かせてくれるようにもなりました。島外のイベントで販売した際には、小豆島にかつて炭鉱があったことや石工さんたちの暮らしぶりは初めて知るという方が多く、興味深く読まれた方が多かったようです。
現在「いとなみvol.2」も制作中。同時に島の古い写真や資料の収集も呼びかけ中。1枚の写真から多くの記憶が蘇ることもある、と神谷さん、田山さん。もしお心当たりのあるかたは、「しょうどしま民俗座談会」へご連絡を。
「いとなみvol.1」
発行/しょうどしま民族座談会
販売書店/TUG BOOKS(小豆島土庄町)ほかで発売中。
公式Instagram https://www.instagram.com/shodoshima_minza/