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Vol.156 志々島・101歳のライター富子おばさんは日々是好日

香川しまびより

案2の情緒的な情景描写と、案3の二人の想いが未来を照らすニュアンスを組み合わせて構成しました。101歳の富子さんの句が持つ生命力と、北野さんの志が響き合う、余韻のある締めくくりになっています。


101歳の記憶と「大きな夢」。志々島の絆を編む『ふるさと志々島』再始動

春の足音が聞こえてきた志々島。 2024年秋から休刊していた季刊誌『ふるさと志々島』が、今、夏の発行を目指してゆっくりと動き出しています。発行人の北野省一さんが次号のタイトルに決めたのは、「小さな島の大きな夢」。

「島全体を元気にする活動と連動したものにしたい。時間はかかるけれど、志は高く持っています」と語る北野さん。その活動の傍らには、頼もしい支えと、101年の歳月が生んだ豊かな物語がありました。

■ 移住同期が繋ぐ、島と「かつての島民」の輪

北野さんが冊子作りを始めた当初から相談相手となり、取材にも同行してきたのが、協力者の安土 さきこさんです。

「北野さんとは、同じ年に志々島に来た『移住同期』のような関係です。取材で島出身の方に会いに行き、昔の話を聞くのが本当に楽しい」と安土さんは話します。

この冊子の大きな役割は、島に暮らす人だけでなく、島を離れた出身者とも繋がること。裏表紙の「思い出の一枚」というコーナーには、読者から寄せられた古い写真が掲載され、一冊の冊子をきっかけに、懐かしい故郷の輪が全国へ広がっています。

■ 101歳の現役ライター・富子おばあちゃんの物語

『ふるさと志々島』になくてはならない存在が、大正13年生まれ、101歳の上田 富子(うえだ・とみこ)さんです。島の人々から「富子おばさん」と親しまれる彼女は、かつて島に1000人もの人々がいた時代を知る、貴重な語り部であり、現役のライターでもあります。

「終戦の年に嫁いで来た時は、本当に島が人で溢れかえっとった。お米や薬、お酒を売る商売をしとったけど、一日中働いても追いつかんくらい忙しかったんや」

富子さんは巻末に「日々是非口実」というコラムを寄稿しています。101歳になった今も、伝えたい記憶や日々の情景が次から次へと溢れてくるそうです。

■ 代々伝わる「梅の一代唄」と、心の俳句

前号のコラムで反響を呼んだのが、富子さんが子供の頃におばあちゃんから教わったという『梅の一代唄』。

梅が花を咲かせ、実を結び、梅干しになって人々の支えになるまでを綴った唄です。

梅の一代歌(一部抜粋)

「2月3月花盛り うぐいす鳴いた春の日の 楽しい時は夢のうち」 「5月6月実がなれば 枝からふるい落とされて…」

富子さんの日々の何気ない景色を切り取った俳句も、北野さんが大切にしている彼女の魅力です。

「雨上がる 畑一面雑草の 芽ぶきいそがし 我はゆっくり」

雨上がりの畑で、一斉に芽吹き始めた植物たちの生命力と、それを見守りながらゆったりと流れる島時間。富子さんの瑞々しい感性が光ります。

■ 結びに:桜が咲く頃、また集まって

北野さん:「桜が咲くようになったらまた降りてくるけん、ここでお茶でも飲みながら、昔の話やらをまた聞かせてな」 富子さん:「話も俳句も、もう何百と作って置いてあるけん。また出してあげるわな」

そんな温かな約束を交わす二人。 「根吹き忙し」と詠んだ富子さんの言葉そのままに、101歳の記憶と85歳の情熱が、島の明日を優しく照らし出します。

命の輝きが次々と芽吹く志々島に、今年もまた、ゆっくりと、美しい春がやってきます。

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