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子育てと仕事を両立できる働きやすい職場環境づくりに向けて

ハレまる。みっけ!

子育て支援がもたらす 企業のいい循環

現代のビジネスパーソンにとって、「仕事と育児の両立」は綺麗事だけでは済まない切実な課題です。

「急な休みでチームに迷惑をかけてしまうのではないか」という罪悪感や、「休みを取ることで自分のキャリアが止まってしまうのではないか」という焦燥感。

アンコンシャスバイアス(無意識の思い込み)の心理に深く苦しんでいます。

 

しかし今、この「休み」や「子育て」に対する価値観が、劇的にアップデートされようとしています。

岡山県内の企業経営者・従業員、そして、伊原木知事がとの対談「知事と一緒に生き生きトーク」では、

子育て支援を単なる「福利厚生」や「負担」ではなく、企業の生産性やレジリエンス(回復力・強靭性)を根本から向上させる「攻めの経営戦略」として捉え直す、

深い洞察が交わされました。

現場の生の声から見えてきた、持続可能な組織づくりの本質を紐解いていきます。

 

1. チーム力強化がもたらす「労働時間減・売上増」の逆転現象

――備商株式会社の事例にみる、残業時間を減らす試み

「子育て支援に力を入れたいのはやまやだが、人手が足りなくなって業績が下がってしまうのではないか」――。

多くの経営者が抱くこの直感的な懸念を、覆したのが岡山県内の企業「備商株式会社」の事例です。

同社が取り組んだのは、驚くべき逆転現象でした。

「チームで結果を出せるような仕組みに変えたら、残業時間が減ることに対し、売上がむしろ伸びを示した」

チーム全体で結果を出す柔軟な体制の構築は、もはや単なる「配慮」ではなく、企業の収益性を高めるための極めて合理的な経営判断なのです。

また、子育て世代の従業員が、「育休」を取得する際に、「育休代替支援手当」を導入。

育休代替支援手当:育児休業を取得する社員の業務をカバー・サポートする周囲の社員へ手当を支給し、職場全体で支え合う環境を構築。

育休を取得する従業員のチームに対して、欠員が出る分、手当を支給するといった内容で

「休んでも大丈夫だよ!」などの声がけがもらえ、チームとしても働きやすくなった。また、復帰もしやすい環境となり

今回の対談でも、導入したい!などの声も上がった制度であった。

 

2. 「子育て視点」は最強のマーケティング・ツールになる
――岡山放送株式会社の事例にみる、新たなOSの獲得

岡山放送株式会社の事例からは、

子育てを「仕事の中断期間」や「ブランク」として捉えるのではなく、ビジネスパーソンとしての「新たなOS(視点)の獲得」として捉え直す重要性が浮かび上がります。

育児休業の取得や、日々の子育ての当事者になることは、社会の縮図であるマーケットの現実に深く入り込むことを意味します。

番組制作や企画の現場において、子育て中の従業員が日々の生活の中で抱く「ここを何とかしてほしい」「こうなればもっと楽になるのに」という切実な実感は、

そのまま地域社会のリアルな課題発見や、消費者のインサイト(深層心理)へと直結します。

子育ての経験を通じて得られる「当事者としての解像度」は、マーケットに深く刺さるコンテンツやサービスを生み出す最強のマーケティング・ツールとなります。

育児というライフイベントは、従業員の職業能力をアップデートし、ビジネスパーソンとして一段上の視座をもたらす貴重な機会に他なりません。

 

3. 制度があっても消えない「心のブレーキ」の正体
――働く側の葛藤と、経営者に求められる「質の高い配慮」

一方で、どれほど整った制度やインフラがあったとしても、それだけで現場の課題がすべて解決されるわけではありません。

対談では、実際に働く側が抱えている「心のブレーキ」の正体についても赤裸々に語られました。

「休めるけれど、周囲に申し訳ない」:真面目な従業員ほど、周囲のメンバーへの負担を気に病み、権利を行使することに強い心理的ハードルを感じてしまう。

「配慮が、キャリアの機会損失にならないか」:時短勤務や業務の軽減といった支援が、かえって重要な業務の割り当てや昇進の機会を遠ざけてしまうのではないかという恐れ。

これに対し、伊原木知事は非常に本質的な指摘を投げかけています。

「真面目で一生懸命な従業員ほど、単に『楽をしたい』から休むわけではない。そのもどかしさに寄り添う必要がある」

経営側やリーダーに求められるのは、単に「休みやすい空気を作る」という形式的な対応に留まりません。

従業員の成長や挑戦の機会を損なわない、きめ細やかで「質の高い配慮」の設計こそが問われています。

個人のキャリア形成を諦めさせない仕組みづくりこそが、結果として企業の高い定着率と求心力につながっていくのです。

 

4. 中小企業の武器は「柔軟性」
――オサカダツール株式会社にみる、多能工化と組織の哲学

製造業を営む「オサカダツール株式会社」では、高度で熟練した技術が必要とされる現場でありながら、

令和4年度(2022年)に開催された「第7回美作市男女共同参画推進者表彰」を受賞。

全従業員対象に社内研修を実施し、コミュニケーションの活性化に努め、一人ひとりの家庭事情に柔軟に対応。

「多能工化(マルチスキル化)」と日々の「対話」を軸にした現場改革を進めています。

製造現場における属人化の解消は、一朝一夕で成し遂げられるものではありません。

しかし、大企業に比べて組織規模の小さい中小企業だからこそ、経営トップと現場の距離が近く、信頼関係をベースにした迅速な意思決定が可能になります。

ボトムアップで「現場から本当に必要な制度を、形にしていく」。その機動力と柔軟性こそが、中小企業最大の武器となります。

 

5.「家では母親・父親の代わりはいないが、会社にはチームがいる」

家庭という「代えのきかない大切な場所」を守るために、企業側は「お互いに代わりが務まるチーム」として機能しなければならない。

相互バックアップ体制の構築は、働く従業員に深い安心感を生み出すだけでなく、予期せぬ事態に対する企業の災害対応力や事業継続計画(BCP)の強化にも直結します。

子育て世代だけではなく、「家庭での時間が本番」といった日もある。

この負担をどのように軽減するのか?または、岡山県・市区町村で対応することであるのか?

 

現在、岡山県では仕事と家庭の両立支援に積極的に取り組む企業を「アドバンス企業」として認定しています。

求職者や学生が「働く環境として信頼できる企業」を見極められる指標となっています。

専用のポータルサイトでも各企業の具体的な取り組みが広く公開されており、社会全体でこの新しい働き方の流れを加速させるインフラが整いつつあります。


組織(あるいは、チーム)は、「誰かの人生を犠牲にして成長する場所」でしょうか。

それとも、「お互いの人生を尊重し合うことで、共に持続的な成長を遂げられる場所」でしょうか。

働きやすい職場環境を進める企業と岡山県にずっと住み続ける環境をつくる県政。

双方で考えていかなければならない課題であることを再認識した対談となりました。

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